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    Vol.12 情報システム部 ─ 基幹システム刷新の立役者

    社員に近い開かれた情シスの素顔

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叶内

情報システム部は、計算管理部を母体として1995年に発足した部です。主な業務は、販売・生産・会計・財務といった会社の基幹業務を回すためのシステム開発やその保守。当時は自社オリジナルの業務システムが動いていたので、現場からこうしてほしいと言われればプログラムを書き直したり、「ここの数字おかしくない?」なんて直接言ってくる社員もいました。自分でプログラムをさわれる時代でしたからね。

叶内

COBOLです。でもそういうプログラムスキルを持つエンジニアが高齢化し、システムをどうサポートしていくかが問題になってきた頃、COBOLがもうバージョンアップされないらしいという情報が入ってきて、いよいよパッケージ導入を視野に入れようということになりました。

坂口

J-SOX対応も大きな課題でした。旧システムでは金融証券取引法のいわゆるIT統制に対応できないということで、2010年代半ばにERP*導入に向けた最初の動きがあったと記憶しています。

叶内

そうですね。会計管理上、数字を改ざんしていないという証跡が取れるシステムでないと不適法になってしまうんですよね。

坂口

これならいけるんじゃないかとプロジェクトが立ち上がったのが2016年です。各部署から選任された15人ほどでチームが組まれ、私もそこに業務サイドのメンバーとして参加していました。

坂口

新システムが正しく稼働するには、10以上に分かれてバラバラに動いていた旧システムのデータをきっちり紐づけしたうえで統一して新システムに乗せ替える必要がありました。整合しない箇所があると正答率が低くなるんです。そのデータの統一作業が思うようには進みませんでした。

叶内

データ移行ってやれるチャンスがあまりないんですよ。年末年始かゴールデンウィークか夏休み。

佐藤

そうです。本当は2017年の年末にデータ移行を完了して2018年から新システムが稼働するはずだったのですが…

坂口

それが4回目だったので、「これでダメだったら正月は迎えられないぞ」ぐらいの意気込みで臨んだのですが結局うまく動かなくて、当時の責任者に「申し訳ない。でももう(新年は)ゆっくり休もう」って…。大晦日だよね。

坂口

「不具合箇所を修正してはデータ移行を試す」を何度か繰り返し、正答率を上げていく作業をひたすら続けていました。2019年のゴールデンウィークに在庫の移行まで成功したのですが、実はそこでも「やっぱりやめるか」みたいなギリギリの状況が最後の最後までありました。結局、5月2日の深夜0時を回っていたと思います。

叶内

そうそう、令和を会社で迎えたんだよね。

佐藤

迎えたことに気づいていませんでしたよ。

坂口

基幹系システムをクラウドに載せた場合の目安とされている稼働率99.9%は達成しているのですが、実は稼働3年目にサーバーがダウンしてしまったことがありました。

佐藤

データが溜まっていくとどうしても起きやすくなるんです。

坂口

サーバースペックを強化するなどの対策を取って現在は順調に動いていますが、今後に向けた検討は継続しています。

叶内

0.01%でもそれが起きてしまうと生産や出荷への影響が甚大ですからね。

佐藤

ただ現在は、何がどうなっているのか自分たちで検証して即対応できた旧システムと違い、トラブル時の対応のほとんどはベンダー側でしかできません。ベンダーさんといかに的確に連携し、社内のニーズに応えていくか。これが今の情シスの役割です。

佐藤

ヘルプデスクと呼んでいますが、「こんなことで困っている」「こういう使い方で合っている?」「こんなことはできないか」といった相談に乗るのも情シスの仕事です。

坂口

基幹システム刷新は大きなプロジェクトではありましたが、もともと私たちはそれだけをやっているわけではなくて、社員のパソコンやスマートフォンの購入、PCキッティング(初期設定)、それからネットワーク機器の配線といったことまで守備範囲にしています。

叶内

工場から「無線が飛ばなくなった」と言われれば機械を持って向かいますしね。

坂口

基幹システムは今後、ネットワークの改善、情報セキュリティの向上といった取り組みと並行して、5年、10年というスパンで運用環境を最適化していく必要があります。現場のニーズに耳を傾けて何に困っているかを受け止め、よりユーザーフレンドリーなシステムを実現していければと思っています。

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