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斎藤

「きっかけは『放置されてゴミになっている大量の貝殻で食用ホタテ産地が困っている』。そんな話からでした。ホタテ貝殻をリサイクルした抗菌剤はこれまでも抗菌プラスチックに利用されていたので、それを印刷分野で応用できないものだろうかと。当然最初は抗菌インキを考えましたが、それだと抗菌性があるのはインキが乗っている部分だけ。であればニス。薄く塗布するニスなら採算面も見合うだろうということで開発が始まりました」

大塚

「そんなやりとりがあったのが2019年9月。用途としては当初からマスクケースを想定していました。インフルエンザの流行は毎年のことなので一定の季節需要があるだろうと。まさか半年後にコロナ禍がやってくるとは思いもよりませんでした。結果的にウィズコロナ時代の抗菌ニーズを捉えるタイミングでの製品化が実現したのですが、そもそものテーマはホタテ貝殻のリサイクルなんです」

斎藤

「この強アルカリ性は、ホタテ貝殻を高温焼成して炭酸カルシウムを水酸化カルシウムに変化させることで得られるのですが、水酸化カルシウムというのは空気中の二酸化炭素と結合して再び炭酸カルシウムに戻る性質があることがわかりました。言ってみれば元のホタテ貝に戻ろうとするわけです」

大塚

「SCPシリーズは『抗菌』『抗ウイルス』の2つのSIAA認証を受けていて、採用いただいた印刷物にはSIAAマークの表示が可能です。それだけでも訴求力はあるのですが、その抗菌・抗ウイルス性能をpH値によって『見える化』できるのが既存製品との大きな違いです」

佐野

「自社でpH計測器を購入し、実測データに基づくプレゼンをしてくださる印刷会社様もいて、その先のクライアントに提案する際に『非常に説得力がある』と評価いただいています」

斎藤

「銀イオン系ニスの場合、印刷物になった状態でイオンを測定することは難しいですからね」

大塚

「『抗菌だけ』『抗ウイルスだけ』というチョイスもでき、幅広い用途がまだまだ考えられるので、コロナ禍の今だけでなくロングスパンで必要とされる製品になると自信を持っています。今後は用途のアイデアも含め、さらなる認知度アップを図っていけたらと思っています」

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